歩行器・シルバーカーの違いは?自転車に乗れなくなった母の買い物用に選んだ体験談

母は、スーパーで重たい物を買うとき、これまでは自転車のかごや荷台に乗せて持ち帰っていました。ところが、足が痛くなって自転車に乗れなくなってしまい、重い買い物をどう運ぶかが悩みの種になりました。
この記事では、(1)母の買い物の悩み、(2)デパートで見てきたシルバーカー、(3)歩行器・シルバーカーの違い(調べてわかったこと)、(4)福祉用具のレンタルで車輪つきの箱型の歩行器を借りたこと、(5)選ぶときのポイントをまとめます。
自転車に乗れなくなった母の、重い買い物をどうする?
自転車に乗らずに、荷物を乗せた自転車を引いて歩く方法もあります。でも、重い荷物でハンドルが取られて、うまく操縦できなくなるのでは……という不安がありました。
そんなとき、道ばたで、荷物をのせた台のようなものを押して歩くお年寄りを見かけて、「ああいうものがあるんだ」と思ったのを覚えています(あとから思えば、シルバーカーと呼ばれるものでした)。杖の代わりにもなるし、荷物も入れられる。一石二鳥なのでは?と思って、当時は「歩行器」という言い方で、母に提案してみました。
「歩行器」の提案に、母は気が進まない様子でした
母は、杖のときと同じように、この提案にもあまり乗り気ではありませんでした。話を聞くうちに、歩行器には「足腰の弱い人が使っているもの」というイメージがあって、便利そうだと思っても、見た目のイメージが気になって嫌なのだと分かりました。
毎日使う道具ですから、機能だけでなく「これなら使ってもいいかな」と本人が思えるかどうかも、大事なポイントなのだと思います。そう感じるのは無理もないことです。
そこで、杖のときと同じように、またデパートへ下見に行ってみました。
デパートで見てきたのは、シルバーカーでした
売り場には、歩行器よりもシルバーカーのほうがたくさん並んでいました。歩行器については、このあと調べたことを次の章に書いています。
シルバーカーは、すっきりした形のものや、おしゃれなデザインのものが多い印象でした。私のイメージでは、歩行器はしっかり安定したどっしりした作りで、シルバーカーはすっきりしておしゃれ、という感じです。母は、どっしりしたものはあまり使いたくないという気持ちから、すっきりした形のシルバーカーに興味を持ちました。
ただ、母が気になったのは、両手で押すタイプではなく、片手で持って横に押して歩くタイプ(スーツケースを引くようなイメージ)でした。歩いているときの安定感を考えると、ちょっと心配です。
また、ボックスタイプやワゴンタイプは、母はあまり気が向かない様子でした。初めて見に行った日でしたし、仕方ないかなと思って、その日は何も決めずに帰ってきました。
歩行器・シルバーカーの違い(調べてわかったこと)
お店では「歩行器とシルバーカーは似ているけれど、用途が違うみたい」と感じました。あとで、福祉用具のカタログや、製品安全の情報を出している国の機関(製品評価技術基盤機構=NITE)の資料、シルバーカーのJIS(日本の工業規格)を見てみると、もう少し詳しいことが分かりました。
いちばんの違いは、体重をどれくらい預けていいかです。
- 歩行器:歩くときに、体をしっかり預けられる道具です。車輪のない、屋内向けのタイプと、車輪がついて外出にも使える箱型・ワゴン型のタイプがあります。車輪つきのタイプには、座面がついて休憩できるものもあります
- シルバーカー:自分で歩ける人が、外出のときの荷物運びや休憩に使う道具です。ハンドルは「バー型」で、荷物を運ぶバッグや休憩用のいすがついたものもあります。JISには「使う人の全体重を預けることを目的にしていない」と書かれていて、歩行器とはこの点が大きく違います
私は最初、シルバーカーも歩くのを支えてくれる道具だと思っていましたが、正確には、歩くのを助けてはくれるけれど、体を預けるためのものではない、ということのようです。片手で持って横に押すタイプを見て「安定感が心配だな」と思った気持ちは、あながち的外れではなかったのかもしれません。
つまり、自分でしっかり歩けて荷物を運びたいだけならシルバーカー、歩くのに不安があって体を預けたいなら歩行器、というのが基本の考え方のようです。どちらが合うかは、その人の体の状態によって変わるので、迷うときは専門の方に相談するのがよさそうです。
その日は決めずに帰って、しばらくはリュックと杖で
重たい物の買い出しは、私が実家に行ったときに買うこともできます。今すぐどれかを決めて買わなければ、というものでもなかったので、しばらくは、大きめのリュックを背負って杖をついて、買い物をしていました。
福祉用具のレンタルを教えてもらい、車輪つきの箱型の歩行器を借りました
デパートで実物を見たあと、私は、買い物の荷物を入れられるカートのようなものを買おうかなと考えて、相談に乗ってくれた方に話してみました。すると、福祉用具にはレンタルという方法があると教えてもらい、カタログを紹介してもらったと記憶しています。それまで、私はレンタルできることを知りませんでした。
デパートで見たあとだったので、「借りられるなら、借りてみようか」という話になり、その方に、歩行器を提案してもらいました。
提案してもらったのは、どちらも車輪のついた箱型(ボックスタイプ)の歩行器で、2種類ありました。
- コンパクトタイプ:持ち上げてバスや電車に載せられるくらいのサイズと重さ
- 普通タイプ:コンパクトタイプより大きめのもの
どちらも、買い物カゴを乗せられるので、お店でカートを使わなくてよくなり、便利そうだと思いました。
後日、提案してもらった2種類を、実際に2週間ほど借りてみることにしました。電車やバスに持ち上げて乗せる機会は少なく、歩いて買い物に行ける範囲での利用が中心だったので、使ってみた結果、安定感のある普通タイプに決めて、コンパクトタイプは返却しました。普通タイプのワゴン型(箱型)で、借りたのは「テイコブリトルワゴン」という製品です。

後ろの黒い部分は倒すと座面になり、一応腰掛けることもできます。ただ、相談に乗ってくれた方いわく、あくまで補助的なもので、「ベンチなどがあればそちらに座ってほしい、何もない場所で少しだけなら」という程度の説明でした。休憩用というより、いざというときのための機能、というくらいに考えています。

使い始めてから、母の様子
2025年9月の初めから2週間ほどの試用期間を経て、9月下旬に本格的にレンタルの契約をしました。
買い物に行くときに歩行器を使っていて、足をかばいながらでも荷物を運べて、とても助かっていると言っています。最初は、歩行器で出かけるのが少し恥ずかしかったようですが、今は、もう当たり前のように使っています。
ただ、雨の日は出歩けないので、天気が悪くなりそうなときは、前もって買いだめしているようです。
歩けるうちは、筋力の維持も兼ねて、自分で買い物に歩いて行きたいそうです。ただ、今後は、スーパーの配送サービスなども利用して、必要なものを手に入れられるようにしたいと思っています。
杖のときも、最初は「恥ずかしい」と言っていた母が、使ううちに出かける機会が増えていきました。見た目が気になる気持ちは、使ってみて「助かる」と感じるうちに、少しずつ薄れていくのかもしれません。
費用について
介護保険の福祉用具貸与を使っているので、1割負担で月360円でした(負担の割合は人によって違います)。レンタルではなく買った場合の定価は91,300円だったので、この金額を見ると、レンタルという方法があってよかったと改めて思います。
車輪つきの歩行器・シルバーカーを選ぶときのポイント
今回の体験と、NITE(製品評価技術基盤機構)などの公的な資料で調べたことから、選ぶときに見ておきたい点をまとめます。

- 使う人の状態に合っているか:自分でしっかり歩けるのか、体を預けたいのかで、合う道具が変わります。迷ったら、医療や福祉の専門の方に相談してください
- サイズと重さ:電車やバスに持ち上げて乗せる機会があるなら、軽くてコンパクトなものが楽です。歩いて行ける範囲で使うなら、安定感のあるものも選べます
- ブレーキとハンドルの高さ:ブレーキがきくか、ハンドルにぐらつきがないか、ハンドルの高さが体に合っているかを確認します
- 座れるか:座面は、歩く合間に休むためのものです。座れるタイプは便利ですが、座る機能が必要かどうかは、使う場面で考えます
- 片手か両手か:体を預けたいなら、両手で持つタイプです。片手で持って押すタイプは、安定感をよく確かめたほうがよさそうです
- 試してから選ぶ:杖のときも、実物を持ってみて分かることがたくさんありました。できれば、実際に触って動かしてから選びたいところです
先日、歩行器の点検に来てくれた業者さんに聞いた話では、最近は買い物かごを乗せられるタイプにレンタルし直す人が増えているそうです。買い物かごを乗せられないタイプだと、お店の中では歩行器を置いて店のカートに持ち替える必要があり、歩行器から離れることに抵抗を感じる人が多いのだとか。その点、買い物かごを乗せられるタイプなら、歩行器のまま買い物ができるので、便利なようです。選ぶときの参考にしてみてください。
使うときの注意も、NITEの資料から書いておきます。
- 段差や傾斜の少ない道を選ぶ(段差は、無理に乗り越えず、避けるか、一度止まって慎重に)
- 荷物は入れすぎない
- 雨の日は滑りやすいので注意する
- 後ろ向きに引っ張って歩かない(後ろ向きに引いていて、前輪が段差にひっかかって転んだ事故が報告されています)
まとめ|「見た目のイメージ」と「本人に合うか」の両方を大切に
自転車に乗れなくなった母の買い物のために、歩行器とシルバーカーについて、実物を見たり調べたりしました。似ている名前でも、体重を預けていいのか、どんな人が使う想定なのかが違うことが分かりました。
最初は「見た目のイメージ」で気が進まなかった母も、今は歩行器を使って買い物をしています。高齢の家族に提案するときは、本人の気持ちに寄り添いながら、体の状態に合った道具を、専門の方の意見も聞いて選べるといいのかなと思っています。
※この記事は、私の体験と、公的な機関の資料で調べたことをまとめたものです。体の状態は人によって違うので、どのタイプが合うかは、専門の方にご相談ください。
参考
- 製品評価技術基盤機構(NITE)「製品安全情報マガジン Vol.484(2025年9月9日号)シルバーカー・歩行車、電動車いす、電動アシスト自転車の事故」
- 製品評価技術基盤機構(NITE)注意喚起ポスター「シルバーカー・歩行車を見直そう! チェックリスト」(PDF)
- 日本規格協会(JSA)「JIS T 9263:2017 福祉用具-歩行補助具-シルバーカー」(閲覧用プレビュー・PDF)


